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2009.11.12 *Thu

気弱な精神科医のアメリカ奮闘記

気弱な精神科医のアメリカ奮闘記気弱な精神科医のアメリカ奮闘記
(2004/12)
岡野 憲一郎


この本は読者層を限定してしまうかもしれませんが、分かりやすい文章で心の病から敷衍して日米のメンタリティの違いに触れておられていて、私には納得できる部分が多くあり非常に楽しく読むことができました。

著者はアメリカ社会を批評しますが、同様に日本社会のあり方も批評されていてフェアな個人の視点から上手にまとめておられます。

興味深かったのは、一見「わがまま」と形容することのできる、「本当に自分のしたいことをする」彼らの姿勢は決して生半可な気持ちで表面的に真似をしても幸せに至るものではなく、リスクを受け入れる覚悟の必要な生き方であるということでした。私の以前の日本での職場もそうでしたしもしくは日本全体がそうなのかもしれませんが、真に理解をすることなく猿真似のように”アメリカの考え方”を取り入れてもうまく機能しないはずです。そもそも”アメリカをお手本”になどと考えているのは日本人くらいかもしれませんが。

興味深かったのは家族観について。

”「本当に自分のしたいこと」を持ち続け、なおかつ自分と幸せを共有できるような家族とパートナーを持ち、それも守り続けなければいけない。それができなければ、パートナーはすぐにでも子供を連れて出てしまう。扶養手当を払いつつ新しいパートナーを探すことになるが、壮年期を過ぎ人間としての華が徐々に失われていく時期にこれが起きるのはとても辛いことであり、その先には私たちが最も恐れるもの「孤独」が待ち受けている。事実アメリカにはこのような孤独な中年、老年が圧倒的に多い。我がままを押し通すという危険な賭けの結末なのである。”

まさに私が周りのアメリカ人に見出す状況にぴったりはまっていてうなってしまいました。

また、彼らの夫婦関係・家族関係についての記述は、私が常々感じていた不透明感を解決してくれました。

つまり、”彼らは「プライベートな生活」をとても大事にするが、それは自分の幸せを共有できる家族やパートナーを持つことを意味し、逆に家族の賛同が得られないまま人生を共にするよりも、新しいパートナーを探し「プライベートを充実」させる方が社会的に評価される。”という点です。

アメリカ人を見ていて痛感するのはまさに”深い孤独”。40代50代の多くが離婚をしまたはシングルのまま、新しい関係やパートナーを切ないほどに欲しているのです。
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