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やがて哀しき外国語
読みたかった本を図書館で借りて楽しんでます。
アメリカ生活に関する村上春樹さんのこの本はとても読みたかった本の一つ。
共感できる視点が多かったのでご紹介したいと思います。
![]() | やがて哀しき外国語 (1994/02) 村上 春樹 |
厳然と、根深く存在する黒人差別。”ドラッグと銃という二大病根はこの国を土台からむしばみつつある。”平和な郊外に漂う”深い孤独感、孤絶感”、人気のない閑散としたショッピングモールには”寒々しいという以上の何かがそこにある。”村上さんが購買意欲をそそられないアメリカ製品。希少なメイドインアメリカが象徴するアメリカ経済の不穏な雲行き。アメリカ人女性の、夫に従属せず自発的なキャリアを持つことへの強迫的ともいえる評価。
語学に向いていると思っていた村上さんが考える、外国語習得の壁となる、傾向的、性格的要素。
それでも、外国人に外国語で自分の気持ちを正確に伝えるコツをアドバイスされていて、参考になります。
(1)自分が何を言いたいのかということをまず自分がはっきりと把握すること。そしてそのポイントを、なるべく早い機会にまず短い言葉で明確にすること。
(2)自分がきちんと理解しているシンプルな言葉で語ること。難しい言葉、カッコいい言葉、思わせぶりな言葉は不必要である。
(3)大事な部分はできるだけパラフレーズする(言い換える)こと。ゆっくりと喋ること。できれば簡単な比喩を入れる。
外国で暮らす人の視点も、”通り過ぎる人には通り過ぎる人の視点があり、そこに腰を据えている人には腰を据えている人の視点がある。”
どのテーマも平易な文章で、私が日頃漠然と感じていることを簡潔に指摘されていて、読んでいて気持ちがすっきりしました。
かつて日本人が憧れていたアメリカの姿はもうありません。
行き詰った社会に漂う閉塞感とやり場のない絶望感。土台から蝕まれている巨人。そして何もできない”オーディナリーピープル”の無力感。
1992年の連載ですが、今でも十分。
アメリカ好きな日本人に読んでもらいたい1冊です。
COMMENT
今日初めてメインブログではなく、こちらのほうに訪問させていただきました。
アリスさんの「やがて哀しき外国語」の本の紹介文を読んで「今すぐ読みたい!」と思いました。私が今最も必要としている本のようにも思えました。今からすぐにでもアマゾンで取り寄せます。いつも素敵な情報ありがとうございます。
村上さんのエッセイとっても読みやすかったです。
日本に帰ると短い滞在の間に本を読みまくろうと必死です(笑)。
学校のほうはいかがですか?